建設業許可を受けて営業している個人事業主が法人へと組織変更する場合、建設業許可は引き継がれるのでしょうか?
答えとしては、引き継げる部分と引き継げない部分があるということになります。
法人成り新規申請
個人から法人へと組織変更した場合、その手続きは法人成り新規申請と呼ばれ、新たに法人として建設業許可を取得しなおす必要があります。
通常の建設業許可の新規申請に比べて、若干の提示書類の省略などができますが、新規の申請となるため、更新の手数料ではなく、新規の手数料を支払う必要があります。
また、次の条件を満たすことで、許可番号、経審の実績、営業年数を引き継ぐことは可能となっています。
許可番号
個人事業としての建設業許可番号を引き継ぐことが可能です。
経営事項審査の実績
経営事項審査を受けていた場合、これまでの完工高・公共工事の実績などを引き継ぐことが可能です。
営業年数
個人事業主として、建設業許可を取得された時期からの営業年数を加算することが可能となります。
営業年数は、経営事項審査の得点にも影響するため、十分なメリットといえます。
引き継ぎの要件
許可を受けていた個人が新規に設立した法人であること
新しく設立した法人であることが必要です。
もともとあった法人や休眠していた法人への蘇しく変更は認められません。
個人の許可が有効であること。
法人を設立した時点で、個人事業の建設業許可が有効であることが必要です。
経営事項審査を引き継ぐ場合
経営事項審査の実績を受け継ぎたい場合は、経営事項審査の結果通知書が有効であることが必要です。
資産・負債が引き継がれること
個人事業としての建設業に係る資産や負債が法人へと引き継がれることが必要です。
具体的には、完成工事未収入金、未成工事支出金、材料貯蔵品、工事未払金、未成工事受入金などの経理状況が法人へ移行されている必要があります。
経営業務管理責任者
個人事業主として経営業務管理責任者に就任していた方が、引き続き法人の経営業務の管理責任者に就任することが必要となります。
主要株主
新設法人の代表者と主要株主が、個人事業主か個人事業主の親族であることが必要です。
主要株主とは、発行済み株式の過半数を有する株主のことをいいます。
財産要件
通常の新規申請の際に必要な財産的要件を満たした形での法人設立が必要となります。
確定申告前であること
法人設立後に、その法人の第1期の確定申告がなされるまで、法人成り新規申請を行う必要があります。
建設業許可は個人と法人どちらで取得すべき?
建設業許可をいざとろうと思ったとき、個人のまま許可を取るか、会社を設立してから許可を取るか、非常に迷われるかもしれません。
会社を設立する場合には、当然費用が発生します。
たとえば株式会社であれば、公証役場や法務局へ支払う手数料としておおよそ20万2000円程度の法定費用が必要となります。
また、会社設立を行政書士や司法書士などの専門家に依頼すれば、その分の費用も発生することになります。
個人のまま、許可申請を行えば、その分の費用だけで済むことにはなります。
ですが、個人で建設業許可を取得した後に、法人成りした場合には、先ほどの「法人成り新規申請」を行い、再度建設業許可を取得しなおす必要がでてきます。
また、個人にくらべて法人のほうが社会的な信用度が高いですし、当然、業務を受注する場合にも、法人であるほうがお客様も安心してご依頼されるでしょう。
元請け業者の中には出入り業者になるためには法人格が必須という場合もあります。
個人事業と比べた場合の法人での節税面でのメリットなどの説明は税理士さんにお任せしますが、一定額以上の売上が見込める状態であれば、法人のほうが節税になる部分もあります。
以上から、様々な判断は必要ですが、個人で取るか・法人で取るかは現在の状況からお考えになったほうがよいと思います。
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