建設業許可は、請け負う工事内容によって29業種に分けられていますが、その中で「建築一式工事業」は、他の28業種とは異なる部分が多々あります。
では何が違うのか詳しく見ていくことにしましょう。
建築一式工事とは?
建築一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建築する工事」とされています。
たとえば、元請として建築確認を必要とするような新築工事や増改築工事が該当することになりますが、家を一軒建てるためには、内装工事・大工工事・電気工事・管工事・屋根工事など様々な専門工事が必要となると思います。
それら専門工事を総合的にプロデュースするのが、建築一式工事だと考えていただければと思います。
また、建築一式工事であっても、次のどちらかに該当する場合には建設業許可は不要とされています。
- 工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事
- 請負代金の額に関わらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
※150㎡未満であっても二分の一以上が店舗である場合は、建設業許可が必要
建設業許可の他の業種が500万円未満の工事の場合は、許可が不要とされている中で、建築一式工事はやはり特殊な取り扱いとなっていますね。
建築一式工事に該当する建設工事 |
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建築一式工事業があればなんでもできる?
建築一式工事は総合的な建設工事と考えられていますので、下請業者として元請から 電気工事や管工事などの専門工事を受注するような場合は、受注金額がどれだけ大きくても、建築一式工事とはみなされないことになります。
ところで、建設業許可を取得する際に、建築一式工事の取得を希望される業者さんが多いのですが、大きな理由は建築一式さえあれば、どんな専門工事だろうと受注できるようになると勘違いされているためです。
それは誤りで、たとえ建築一式工事の許可を取得していても、その建築一式工事の中に500万円以上の専門工事が含まれる場合は、建築一式工事とその専門工事の許可両方を取得しておく必要があります。
たとえば、新築一戸建て(木造150㎡以上)の工事を5000万円で請け負った場合に、その中に500万円の管工事と490万円の電気工事が含まれていたとします。
この工事を受注するためには、建築一式工事を取得したうえで、次のとおりに各専門工事の建設業許可も必要となります。
管工事業 | 許可必要 | 専門工事として500万円以上であるため |
電気工事業 | 許可不要 | 専門工事として500万円未満であるため |
修繕工事は建築一式工事?専門工事?
いくつかの専門工事が含まれているようなマンションや学校などの大規模修繕工事などは、建築一式工事に含まれるのでしょうか?
公共工事であれば、原則として入札参加要件となっている建設業許可の業種でみられることになります。
その業種が、塗装工事・屋根工事・管工事などであれば、いくら受注金額が大きい工事であっても、それぞれの専門工事としてみなされることになるでしょう。
ただし、そういった修繕工事であっても、入札参加要件に「防水工事・建築一式工事」と二つの業種の記載があれば、建築一式工事として認められることもあります。
また、民間の工事の場合でも、外壁の補修などがメインであれば防水や塗装工事になるでしょうし、空調関係がメインであれば管工事などに該当することになるでしょう。
建築一式工事の実務経験での取得はむずかしい?
建設業許可には、現在29業種がありますが、「一式」の名がつく業種は建築一式工事と土木一式工事のみとなります。
その他の専門工事と異なり、どちらも総合的な工事となりますので、実務経験や経営経験を証明するための実績については、他の専門工事よりも厳しく審査されることとなります。
建築一式工事の実績として認めてもらうためには、次の要件を原則として満たす必要がありますが、正直なところ都道府県によって基準が大きく異なる部分でもあります。
その点、京都府は比較的緩やかに建築一式の実績として認めてもらえる傾向にあると思います。
建築確認が必要な工事であること
工事の前に建築確認申請を行う必要があるような大規模な新築工事や増改築工事が該当するとされています。
ですが、建築確認を必要としないよな工事であって、受注した工事の資料によっては、実績として認められることもあります。
元請で受注していること
建築一式工事の定義は、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事とされているため、工事のマネージメントを行うような工事であることが必要とされています。
原則として元請であることが必要となります。
請負金額について
あまりにも請負金額が低いような工事については、総合的な工事と認められないと考えられています。
建設業許可「建築一式工事業」を取得する方法のまとめ
いかがでしたでしょうか?
建築一式工事業が他の29業種とちがって総合的な工事であること、かといって建築一式だけをもっていても無敵ではないこと、実務経験での取得が難しい業種であること、その中で京都府での実務経験での取得が比較的ゆるやかであること(笑)などがお分かりいただけましたでしょうか?
建築一式工事業が必要とされる建設業者様は多いと思われますが、
- 自社で請け負っている工事が建築一式工事にあたるのかわからない
- 実務経験で建築一式工事を取得したい
- 建築一式工事を早急に取得したい
などなど、ぜひお気軽にひかり行政書士法人へお問合せいただければと思います。
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